all Reset 【完全版】
「やっと認めたな?」
呆れたように鼻で笑い、良平は横顔を見せる。
「だったら何だよ」
引っ込みがつかなくて、俺は軽く逆ギレ口調でそう返していた。
それから案の定、俺らは沈黙の穴に落っこちた。
どこまでも落ちていきそうな、先の見えない底無し穴。
そんな例えがぴったり当てはまる。
この沈黙からどんな話の展開になるのか、俺には全く予想がつかなかった。
冷戦状態とも言える緊迫感の中、俺は手持ち無沙汰で煙草をくわえる。
カチンとZippoの音が沈黙を刺激した。
吸い上げるたび灰になって縮んでいく先端を、飽きもせずに黙って見つめ続けた。
「じゃ、めでたく認めたわけだし?」
「……?」
「ちゃんと言えよ、亜希に……お前の気持ち」