all Reset 【完全版】
「何でそうなるの?! そんな訳ないじゃん!」
やっと返せた言葉で自分に落ち着けと暗示をかける。
でも……。
「ほら、さっきみたいに一生懸命否定しないんだもん」
尋乃ちゃんはそんなわたしに更に追い討ちをかけてくる。
いやいや!
かなり一生懸命なんですけどっ……。
そう思いながらも、尋乃ちゃんの冷やかしみたいな視線に負けそう。
内心そわそわしてしまう。
「違うって言ってるでしょ! 変なこと言ってると怒るからねっ」
すでに怒ってるような口調になり、その勢いでバッグを片手に立ち上がっていた。
「わたし、これからバイトだから行くね」
テーブルの上から伝票をさっと掴み、そそくさと席を離れる。
尋乃ちゃんがどんな顔でこっちを見てるかと思うと怖くて振り返れなかった。
「あっ、先輩! お金!」
「いらない。今日はわたしのおごり! ゆっくりしてって、またねっ」
結局、最後までまともに尋乃ちゃんを見れなかった。
歩きながらこれじゃほんとに図星みたいだって後悔した。