all Reset 【完全版】
それからすぐ、音という音が無くなった。
しんとした体育館の中で完全に独り。
何となく辺りを見渡すと、転がったままのバスケットボールが目についた。
それを拾って近くの扉を開ける。
外は乾いた冷たい風が吹いていた。
寒さも無視してそのまま入り口の縁に座り込む。
ボールを抱えて空を見上げてみた。
これで……よかったんだよな?
亜希と……秀、か……。
何か、想像ついてたようで全然つかねぇな……。
ってか俺って、このまま普通にしとけばいいんだよな?
普通。普通、か……。
アイツら……絶対別れたりしないだろうな……。
って、ことは?
ゆくゆくは……結婚?
間違いなくその方向だよな。
結婚、かぁ……。
結婚式とか、絵になんだろうな……。
亜希はぜってぇ可愛いし、秀は……まぁアレだし。
そこだけ想像つくわ。
じゃあ俺ってその場合、亜希側に呼ばれるってことになるのか?
いや、待てよ……?
女が男の友達呼ぶとか、逆もそうだけど、そういうの、相手方には失礼になるとかって前に聞いた気が……する。
一応、俺も失礼の対象か?
したら、俺は秀に呼ばれるのが正しいってわけか。
だなっ?
つーかぁ、アイツ、ちゃんと俺を呼ぶだろうな?
今から口酸っぱく言っとくべきかも。