all Reset 【完全版】
「ハァ……」
よくわからないため息が漏れた。
良ちゃんにさっき言われたこと。
『秀にちゃんと言え』
それがズキズキとわたしを刺激する。
何も……
言えなかった……。
YESとも、NOとも、答えられなかった。
あんな良ちゃんを前にして、答えられるはずもなかった。
わたしの気持ち……
気付いてたんだ……。
気付いてて……
何も言わなかったんだ……。
そう思うだけで苦しくなる。
わたしを抱き締めた良ちゃんは、やっぱり違う人みたいだった。
ちゃんと男で、わたしを緊張させた。
馬鹿みたいにドキドキした。
ふざけて払いのけることなんて、到底できそうになかった。
わたしは女で、良ちゃんは男。
そんなことを今更気付いた気がする。