all Reset 【完全版】



初めて会ったのは、四月二十七日。

確か、週の始めくらいの曜日。


太陽が眩しくて明るくて、嬉しくなるような朝だった。



良ちゃんの斜め後ろを歩きながら、もうすぐ学校の門をくぐるときだった。



「あ、シュウだ」



登校してくる生徒たちの中で、良ちゃんが誰かを見つけた。



「おーい、シュウ」



良ちゃんが呼び掛けたその先を見ると、見たことの無い男の子が無表情で振り返っていた。



良ちゃんの……先輩?


でも、先輩呼び捨てって、それやばくない?



最初の感想はそんなだった。



振り返ったその人は、新入生とは思えない落ち着いた雰囲気をしていた。


真新しい制服も、着慣れているようにしか見えない。



もう成長が終わっちゃったみたいな彼は、女の子なら多少なりとも見とれる容姿をしていた。


もちろん、わたしもそうだった。




それが……


秀との出逢いだった。




良ちゃんに呼ばれ、わたしは予告無しに紹介される羽目になった。


きっと精一杯のニコニコ顔は、思いっきり不自然だったと思う。


鏡で見てやりたいくらい引きつってる気がした。


< 311 / 419 >

この作品をシェア

pagetop