all Reset 【完全版】
初めて会ったのは、四月二十七日。
確か、週の始めくらいの曜日。
太陽が眩しくて明るくて、嬉しくなるような朝だった。
良ちゃんの斜め後ろを歩きながら、もうすぐ学校の門をくぐるときだった。
「あ、シュウだ」
登校してくる生徒たちの中で、良ちゃんが誰かを見つけた。
「おーい、シュウ」
良ちゃんが呼び掛けたその先を見ると、見たことの無い男の子が無表情で振り返っていた。
良ちゃんの……先輩?
でも、先輩呼び捨てって、それやばくない?
最初の感想はそんなだった。
振り返ったその人は、新入生とは思えない落ち着いた雰囲気をしていた。
真新しい制服も、着慣れているようにしか見えない。
もう成長が終わっちゃったみたいな彼は、女の子なら多少なりとも見とれる容姿をしていた。
もちろん、わたしもそうだった。
それが……
秀との出逢いだった。
良ちゃんに呼ばれ、わたしは予告無しに紹介される羽目になった。
きっと精一杯のニコニコ顔は、思いっきり不自然だったと思う。
鏡で見てやりたいくらい引きつってる気がした。