all Reset 【完全版】
緊張したり、目で追ってみたり、今思えばわたし、はやっぱり秀を意識していた。
あの頃は自覚すらしてなかったかもしれない。
秀と一緒の時間を過ごすうちに、徐々に自分の中でだけ認めていった。
恋愛感情の好きって気持ちを抱いていった。
「亜希と前田くんって、ぶっちゃけ付き合ってたりとかしないの?」
あるとき、クラスの仲良い女友達にそう訊かれたことがあった。
その質問に、わたしはブンブンと首を振って否定した。
「まさか! そんなわけないじゃん」
なんて完全否定。
「たぶん彼女いるんじゃん? そういう話しないからよくわかんないけど」
と、誤解を招かないように付け加えたりなんかもした。
それから話をすり替えた憶えもある。
一緒にいたり、仲の良さを見てる周りはそんなことを感じるみたいだけど、わたしには“秀と付き合う”なんて恐れ多いことだった。
『彼女いると思うよ』
とか言って、“わたしには関係ない”とか“興味ない”みたいな顔を周りにはしてた。
でもそれはあくまで他人にだけ。
わたしの中ではうずうずして、関係ないなんて無視できることじゃなかった。
噂を聞いたり、知らない子と秀のツーショットを見掛けたりすると、わたしはいつも内心動揺した。
な…なに、何っ?!
なんて、内側の自分がじたばたした。
もちろん、秀に直接訊くなんてこと絶対にできなかった。
いくら気になってもできなかった。
わたしって何なんだろ……。
独りになって毎回そう思った。
無性にさみしくなった。
わたしは……
一体どうしたいの?
そう思った。