all Reset 【完全版】
でもそう思ったとこで、秀がそばから離れてくことは無かった。
そうやって独り内緒で落ち込む日もあったけど、それ以上に気分の上がることの方が多かった。
秀のそばにいることで、わたしは事あるごとにドキドキさせられた。
ちょっとした仕草や言葉。
じっと目を合わされたとき。
あんまり見れない笑顔を見た瞬間。
ポンポンと頭を触られたときなんか、心臓がしばらくバクバク鳴った。
秀が何気無くすることに、わたしは日々振り回されていた。
わたしの微妙な気持ちを知っててからかってたりする?
そんなことを思うと少し悔しくなったりもした。
でも、それ以上に幸せを感じた。
からかわれててもいいや……。
馬鹿なわたしはそう思った。
何とも言えない気持ちを抱きながら、わたしは毎日を過ごしていた。
その日々は……
幸せでいっぱいだった……。
それから……もう五年。
その月日はあっという間のようで、そうでもないような、ぎっしり詰まった五年間だった。
秀はわたしにいろんなことを教えてくれた。
嬉しい気持ち。
楽しい気持ち。
ドキドキして、幸せな気持ち。
苦しい気持ち。
悲しい気持ち。
寂しい気持ち。
悔しくて、もどかしい気持ち。
浮き沈みする一喜一憂の気持ちを知った。
人を想う気持ちの大切さを知った。
秀を好きになったから、
わたしは知ることができたんだ……。