all Reset 【完全版】
「ねぇねぇ! 超きれいだよ」
近くでそんな声が聞こえて目を向けると、デニムのミニスカートにロングブーツを履いた若い女が手すりに貼り付いていた。
その後ろから来たのは二人の若い男。
……どんな関係だよ?
なんて思ってみる。
たぶん友達だと思える三人は、広がる海を眺めて盛り上がり始めた。
その様子を見て、ちょっと微笑ましくなる。
帰り、事故んなよ……。
なんて軽く心配までしていた。
見知らぬ三人を見て、自分が重なった。
もう、あんな風に自然体で三人がいることはできないのかもしれない。
そう思うと、寂しいって感情が湧いてきた。
今まで“寂しい”なんて感情抱いたこと無かった気がする。
寂しいなんて思うほど、誰かに執着したことも無かった。
良平に、亜希。
二人に出逢って、俺はやっぱり変わった。