all Reset 【完全版】
次によく憶えていることは秋になってから。
制服が冬服になったくらいだと思う。
仲良くなってから、亜希はいろんな話を俺にするようになった。
他愛もないことから、真剣な話まで。
幅広く話された。
頼りにしてくれてるのはもちろん嬉しかった。
でも、本当に幅広く話しすぎって感じだった。
その時期、亜希が相談してくるのは付き合った三年の男のことが多かった。
その当時から、亜希は断ることができない子だった。
何を思うのか、告られると曖昧なまま付き合うはめになる。
亜希の駄目なとこ。
そんな話をされ始めた頃から俺はそう思ってきた。
だけど、俺には変な自信があった。
この時期辺りには亜希の気持ちを何となくわかっていた。
亜希の特殊な気持ち。
たぶんレベルだったけど、その気持ちが自分にあることが俺にはわかっていた。
でも、それがわかりつつ俺には何も言えなかった。
亜希の心配はひたすらするくせに、そっち系の話にはどうすることもできなかった。
その点、俺と対照的だったのは良平だった。
そんな話を耳にすると、アイツは普通に「別れろ」なんて簡単に言った。
素直じゃないけど、そこらへんは無茶苦茶ストレート。
キャラ的なもんもあるかもしれないけど、俺はそんなときは良平みたいになりたかった。
羨ましかった。
そんな俺は、表向き当たり障りなく話を聞きつつ、実はその行方がかなり気になっていた。