all Reset 【完全版】
良ちゃんが秀にわたしを紹介して、三人が仲良くなった日。
わたしはこの日を『友達記念日』と勝手に命名した。
毎年この日は三人で過ごす約束をしている。
高校を卒業した去年からは、海に行こうと茅ケ崎へ出掛けるようになった。
大人になってもずっと、この日だけは三人集まろうって約束してる。
『お前、まさかとは思うけどバイトとか入れてないだろうな?』
疑うような良ちゃんの声。
わたしが明日の日を忘れるなんて思ってもないはずなのに、わざとだ……。
「大丈夫です。誰かさんじゃないんでね」
『お前物忘れ激しいからな。優しい俺が心配してやったんじゃん?』
おいおい……。
自分のこと言われてるって気付こうよ。
どっちだよ、物忘れ激しいのは。
「あんたに言われたくないから。若年性アルツハイマーのくせに」
『はぁ? お前、ケンカ売ってるわけ?!』
やばい……ヒートアップしてきた。
良ちゃんと話してるとどうしていっつもこうなるんだろう?
秀とは有り得ないのに……。
電話の向こうから良ちゃんが秀と話してるみたいな声が聞こえる。
『だって亜希の奴、俺のこと若年性アルツハイマーとか言うんだぜ?』
あ。告げ口してるし……。
良ちゃんが怒鳴ったから、隣にいる秀が止めたのかもしれない。
それもいつものことだったりする。
良ちゃんとわたしがこうなると、いつも秀が止めに入る。
それがあるから何と納まってるのかもしれない。