all Reset 【完全版】



当時、男と女が付き合うってことは、周りを見てても結構重大なことだった。


けど俺の場合、女と付き合うってことは大した話じゃなかった。


と言うより、特に何とも思っていなかった。


何となく“付き合う”っていう一般過程を経て、何となく別れる。


そんな経験は何度もあった。


でも、付き合うってことの意味がいまいちわかっていなかった。



何をすれば付き合ってんの?

付き合うって、何をすんの?


そんな感じだった。



そこに相手を想う深い気持ちがあるなんて知らなかった。



いきなり泣かれたり、ヒステリーになる女にはうんざりした。



何かしたかよ?


って感じだった。



下手したら女がそうなる意味もわからなかった。


だから、基本は面倒臭くなって終わる。



今思えば、俺はかなり最低な奴だった。


いや、確実に最低な奴だった。



昔の俺は、人を本当に好きになるって気持ちがわからなかった。


だから簡単に人の気持ちを受け入れてた。


付き合って別れるってことに抵抗を感じなかった。



それが違うって気付いたのは、亜希を好きだと実感してからだった。


亜希を想って、自分が感じた気持ち。


それがわかったから、人の気持ちを簡単に受け入れなくなった。


無責任に深く付き合いなんか持てなくなった。



やっぱり俺は変わったし、成長したんだと思う。

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