all Reset 【完全版】
いつになって思い出しても全てが忘れられない。
亜希と出逢ってから、いろんなことがあった。
日常の出来事も一つ一つが思い出深くて懐かしい。
退屈な毎日が急激に変わって、俺の淡色の世界は色鮮やかに変化した。
人を想う、恋とかいう気持ち。
俺には初め、それがよくわからなかった。
亜希に対してどうしてそう思うのか、それすら考えてもわからなかった。
でも、考えてわかることじゃないって知った。
そうしようと思ってすることじゃない。
好きになろうと思って人を好きになるんじゃない。
その気持ちの全ては必ず自然で、人を愛おしいと思う気持ちに意志はない。
勝手に抱いて、落ちてるものだった。
亜希を知ってから、いろんな自分に気付かされた。
見てないと心配で、世の中のしがらみから守らなくちゃみたいな父親のような自分。
全てを受け入れようとする穏やかな自分。
一緒にいないと不安で気になって、寂しいって気持ちになる自分。
思ってもないことを言って、後悔して落ち込む自分。
どうしたらいいかわからないような切ない気持ちになる自分。
こんな気持ちが波のように押し寄せて、戸惑うばっかりだった。
でも、それ以上に初めて知るような幸せがたくさんあった。
一緒にいることの喜び。
そばで見守る温かさ。
存在自体の癒やし。
亜希がいれば、幸せは限り無くあった。