all Reset 【完全版】
空の青さ
部屋を出ると、乾いた風が音無く吹いていた。
手にしたダウンジャケットに腕を通しながら道路に飛び出す。
住宅地の道は静かだった。
向こうから新聞片手に歩いてくる男が一人。
他に人は歩いていなかった。
もう少しすれば買い物に行く主婦とか犬の散歩だとか、その類の人が行き交う時間になる。
亜希と話してから、もう三時間が経とうとしていた。
すぐ行くとか言っちゃったけどかなり待たせてる。
早く行かないと……。
気持ちだけが先走る。
この寒い中、まさかずっと外で待ってないよな?
変なとこで意地を張る亜希ならやり兼ねない。
会ったら、亜希はどんな顔すんだろ?
あの笑顔で、俺の好きなあの笑顔で、待っててくれてんのかな……?
これからずっと、そばにいれるんだよな?
もうすぐ、もうすぐ会える……。
亜希……。
「っ……」