all Reset 【完全版】
秀?!
途端に鼓動が高鳴る。
バクバクと音を立てる。
気が付けば空は薄暗く、日は落ちかけていた。
慌てて鳴り続けるスマホを掴み取る。
良……ちゃん?
目にした画面には、秀ではなく良ちゃんの名前が表示されていた。
一瞬ホッとしたものの、また違った緊張感が押し寄せる。
あの日から、良ちゃんとは会ってない。
もちろん、話してもない。
どんな調子で電話に出ればいいのかわからなかった。
でも、良ちゃんはわたしを呼び続けている。
戸惑いが残るまま、感覚の無い手で通話ボタンを押した。
「……もしもし」