all Reset 【完全版】
『亜希、今どこ?』
「え、どこって……」
間髪なしに居場所を訊かれ、咄嗟に口ごもった。
秀と会うってことが言いにくい。
『いいから、どこにいんだよ?』
でも、良ちゃんは急かすような言い方で居場所をつきとめようとした。
その声はいつになく真面目で、キャラじゃない。
一体……何?
「え……今、お台場にいるけど」
迫力負けというか、観念したというか、わたしは正直にそう答えていた。
『だいじょぶなんだな? 何ともないな?!』
へ?
え……ほんと、何?
「……何それ。変なの」
妙に焦った良ちゃんが意味不明で、思わずクスクスと笑ってしまう。
でも、良ちゃんは無反応。
いつものような返しがこない。
「もしもし? 良ちゃん?」
『秀に……会うんだったんだろ?』
……え?
想定外の良ちゃんの一言で、一気に気まずくなった。
知ってたの……?
「……うん。でも……何で」
『亜希……』
遮るような良ちゃんの声がわたしを止めた。