all Reset 【完全版】
最後のページ
天国まで昇りつめて、一気に地獄の果てまで引きずり下ろされる。
そこに眠る秀を見て、自分を含めた全てのものが無機物になった。
良ちゃんからの電話のときもそうだった。
見えてるものが水墨画みたいに色を無くして、ボロボロと剥がれ落ちていった。
剥がれた先は真っ黒で、みるみるうちに目の前は暗闇に覆われた。
秀がどうして……刺されたの?
須田先輩……なの?
秀は……
もう目を開けないの?
まるでコンピューターのプログラムみたいに、浮かぶ言葉は同じことを羅列するだけ。
あらゆる事実に現実味がまるでない。
溶けかけた思考は感情までも壊していく。
たしかに目の前に秀は存在して、触れることだってできる。
でも、秀がわたしに触れてくれることはもうない。
それが、呑み込めない。