all Reset 【完全版】
「え、お前もう行くの?」
「うん、予約に遅刻できないからね」
亜希はそう言って、食べ残した食器が乗るトレーを良平の前へと滑らせた。
半分だけ綺麗に残されたオムライスが乗っている。
「食べれなかったから、あげる。食べて」
そう言われ、良平は何も躊躇わずに「サンキュー」とトレーを受け取った。
亜希は昔から、自分の食べきれなかった分を俺や良平に食べてと言ってくる。
亜希の方もそれが普通で、俺ら二人にも他愛もないことだったりする。
日常茶飯事のことだ。
そんなやり取りをしている時だった。
賑やかな周囲から、聞き覚えのある名前が入ってきた。
「ね、尋乃っ」