all Reset 【完全版】
「わたしだって……まだ、言ってない。
ちゃんと……ちゃんと言おうと思ってたのに」
聞けるはずだった、秀の気持ち。
伝えるはずだった、秀への想い。
どっちも、
叶わなかった……。
言おうと思えばいくらでも言えた。
あんなに一緒にいたのに、あんなに近くにいたのに、
何も伝えることができなかった。
わたしの心には、今更思っても仕方のないことばかりが巡っていた。
「わたしも……秀が好きだった。
今も、これからも……ずっと、好きだから。
だからっ……一緒にいてよ、秀……」
一緒に……いて……。
お願いだから……。
それ以上、言葉を続けられなかった。
綺麗な秀の顔。
そっと触れた頬に、人の温かさは感じられなかった。
想いを発すれば発するほど凍り付いていくような秀に、今になって現実を認め始める。
もう、秀の優しい声も、温かい体温も、何も感じることができない。
わたしは永遠に届かなくなった秀から、いつまでも離れなかった。