all Reset 【完全版】
あの日、泣き続ける亜希のそばにいた俺の元に、二人の男がやって来た。
スーツの二人組は、警察手帳を俺に見せた。
「事情を伺いたい」
そう言われ、俺は黙って警察まで付いて行った。
秀を刺した、スダ。
その存在を、俺はパトカーの中で改めて思い出した。
絶対に……許せない。
許せないとか、そういう問題じゃない。
秀を刺した奴を、俺がどうにかしてやる……。
湧き上がる感情に眩暈を感じた。
警察に行って、俺はそのときの状況を思い出せる範囲で全て話そうと思ってた。
早く、奴を捕まえてほしい。
そんな思いが全てだった。
でも、先に話をされたのは俺の方だった。
「加害者の須田裕司ですが……遺体で発見されまして」
捜査課の刑事は俺にそう言った。
秀を刺したスダは、あの後、公園で発見された。
公園の公衆トイレの個室の中で、首を吊って自殺していた。
刑事は事務的にそんな話をした。
死ん……だ?
自殺?
何で……死ぬわけ?
お前が死んだら、秀は……。
確実にスダに向かって膨らんでいた感情は、ぷつりと針で突かれ破裂した。