all Reset 【完全版】


秀がそばにいた証の、交換日記のノート。


そっと中を開いてみる。



この頃、秀がいなくなるなんて少しも思わなかった。


わたしは大好きだった秀を忘れて、毎日を過ごしていた。



その時間が……惜しい。



秀を忘れて過ごしたあの時間が、今のわたしには惜しくて仕方ない。



戻れるなら戻って、秀のそばにいたい。




こうなって、当たり前なんて無いって思い知らされた。



どんなことでも、当たり前なんて無い……って。




最後のページを開くと、また喉の奥が苦しくなった。



そのページに書かれた、秀からの最後のメッセージ。


今見たって涙が出てくる。



あれだけ泣いても、まだ涙はいくらだって出てくる。



『もう泣かないで』


さっき、おばさんにそう言われたのに……。





「……亜希?」



背中の向こうから良ちゃんの心配そうな声がした。


泣いてるのがわかったのかもしれない。



「ん……だいじょぶ」



良ちゃんにも、ずっと心配かけっぱなし……。





わたしは、いつまで泣くの?


一生、こうやって泣いてるの?



涙が枯れることなんて、絶対にないよ……。


< 405 / 419 >

この作品をシェア

pagetop