all Reset 【完全版】
秀がそばにいた証の、交換日記のノート。
そっと中を開いてみる。
この頃、秀がいなくなるなんて少しも思わなかった。
わたしは大好きだった秀を忘れて、毎日を過ごしていた。
その時間が……惜しい。
秀を忘れて過ごしたあの時間が、今のわたしには惜しくて仕方ない。
戻れるなら戻って、秀のそばにいたい。
こうなって、当たり前なんて無いって思い知らされた。
どんなことでも、当たり前なんて無い……って。
最後のページを開くと、また喉の奥が苦しくなった。
そのページに書かれた、秀からの最後のメッセージ。
今見たって涙が出てくる。
あれだけ泣いても、まだ涙はいくらだって出てくる。
『もう泣かないで』
さっき、おばさんにそう言われたのに……。
「……亜希?」
背中の向こうから良ちゃんの心配そうな声がした。
泣いてるのがわかったのかもしれない。
「ん……だいじょぶ」
良ちゃんにも、ずっと心配かけっぱなし……。
わたしは、いつまで泣くの?
一生、こうやって泣いてるの?
涙が枯れることなんて、絶対にないよ……。