all Reset 【完全版】
知らなかった……。
おばさんにそのハガキを見せられたとき、あの日の出来事がハッと蘇った。
でも、いつの間に?
そう思って驚いた。
それと一緒にどこかがジーンとした。
「なんか……」
ハガキを裏表にしながら良ちゃんが何かを言いかける。
「……秀っぽいな? こういう、粋な計らい」
粋な、計らい……。
もし秀が今もいたら、わたしに内緒で取りに行ったのかもしれない。
それから、誕生日に何食わぬ顔で渡されたのかもしれない。
良ちゃんが言うように、それはたしかに秀っぽかった。
「さり気なくそういうことできるから、アイツは女にモテんだよ」
そう言って笑い、ハガキを返された。
「俺には絶対真似できないし」
きっぱりとそんなことを言う良ちゃんに、思わず笑いそうになる。
何だかその言い方が嬉しかった。
三人でいた頃と何も変わらない。
秀は……消えてない。
そんな感じがした。