all Reset 【完全版】
「……だろうね」
「おいっ、だろうねってなんだよ? だろうねって」
「え? なんでもないよ」
「俺だってね、少しは秀見て学習してきたの。わかる?」
「えー、そうなの?」
「うわっ、なにその反応?!」
そんな会話をしていると、ふと足が止められた。
『やっと笑った』
そんな声が聞こえた気がして、空を見上げていた。
……秀?
気付くと、昔のように笑っていた。
ごく自然に、笑えていた。
「……どした?」
突然立ち止ったわたしに、先に行きかけた良ちゃんが不思議そうな目を向ける。
「ううん……何でもない」
見上げる空は綺麗な水色だった。
どこまでも続いているような、澄みきった水色だった。