all Reset 【完全版】
記念ネイル
大学を出て、わたしは一人駅を目指して歩いていた。
秀から返ってきたメールを見て、改めて「ごめんね」って唱えてみる。
秀があの場を離れたいっていうのはすぐにわかった。
秀は昔から、集団で盛り上がっているような雰囲気は好きじゃないみたいだった。
特定の人しか寄り付けない。
秀はそういうタイプ。
でも、秀が立ち去ろうとした時、尋乃ちゃんの笑った目がわたしを見てた。
“やっぱり”みたいな目。
だから、あのまま秀と出ていくのは気が引けた。
ただ一緒に立ち去るだけのことなのに、それだけで昨日のことを裏付ける気がした。
それに……もう一つ。
尋乃ちゃんと一緒にいた、女の子二人。
秀が去ろうとした時、尋乃ちゃんの後ろにいたその子たちが尋乃ちゃんの背中をつついて合図しているのに気がついた。
『引き止めて』の合図。
それをわたしは見逃さなかった。
だから尋乃ちゃんが、秀に「前田先輩も帰るんですか?」なんて訊いたんだと思う。
あの子たち……秀が気になるんだ。
そう察した。
そこらへん、女のわたしにはよくわかる。
女の勘ってやつかもしれない。