all Reset 【完全版】
大学で尋乃と別れ、俺はある場所へと足を進めた。
向かった先は秀の実家。
秀の実家は、俺の家から歩いて十分くらいのとこにある。
今は独り暮らしをしている秀の実家に来るのはかなり久しぶりのことだった。
車があることを確認しながらスマホを取り出す。
三コール目で秀の声が聞こえた。
『はい』
「なぁ、こんな天気いいんだからさ、たまには換気すれば?」
二階の角部屋。
秀の部屋を見上げる。
窓は閉めっぱ、さらにカーテンまで閉めきっている。
そう言うと、カーテンを開けた秀の顔が覗いた。
通話を切って窓を開ける。
「……何やってんだよ」
いきなり現れたのにそんなに驚いてない様子の秀。
「よぉ」
俺はスマホをしまい、挨拶代わりに軽く片手を上げてみせた。
「お前、女いたんだ?」
会ったらまず、置き去りの刑をくらった仕返しにこれを言ってやろうと思っていた。
窓から覗く顔がうんざりしたような表情を見せる。
「なに、やっぱ年上? もしかしてOLとか?」
からかいがてらそんなことを並べていると、呆れた顔と共にピシャンと窓を閉められた。
そしてカーテンまで閉められた。