all Reset 【完全版】
「はぁー? バカ?! それ、わざと? 何でそうなるわけ?!」
さっきより身を乗り出し、亜希はとうとう本格的に怒鳴り出す。
無理もない……。
「今日の日付だろ、気付けよ」
二人のバトルを予感して俺はすかさず口を挟んだ。
「あぁー…今日、四月二十七日か」
おいおい…
何だそのあっけらかんな感じは……。
素で気付いてなかったと思うと、やっぱり良平はかなり鈍感な奴だ。
「もういい! 良ちゃんは話になんない」
「ごめんごめん、悪かったよ。怒んなよ」
「怒るでしょ、普通に。わたしだからまだしも、あんまりとぼけたこと言ってると、尋乃ちゃんに愛想つかされるよ?!」
「は? うるせぇなぁ……お前にしかふざけねぇから、俺は。ご心配なく」
二人のやり取りを聞きながら笑いがこみあげてくる。
堪えきれずついつい笑ってみると、亜希が背後から俺に顔を寄せた。
「ねぇ、秀! 何とか言ってやってよ?! 良ちゃんには、ほっんと呆れる」
亜希に話を振られ、何か言ってやろう。
そう思ったときだった。
気のせい……か?
前方の左へ緩くカーブする道からやって来る、対向車のトラック。
蛇行運転をしているように見える。
判断をしようと目を凝らすものの、その距離だけが徐々に縮まっていく。
まさか――。
そう思ったときだった。
「きゃあぁぁああぁぁぁー!」
亜希の悲鳴のような声がした次の瞬間、
判断のつかない衝撃と、耳を潰すかの凄まじい音が俺らを襲った。