all Reset 【完全版】
心の現れなのか、遣り場のない気持ちが気味の悪い笑いを込み上げさせる。
「前向きにとか……お前考えられる?」
俺の心境は…
良平にはわからない……。
「何だよ、それ……お前らしく」
「俺らしいってなんだよっ?!」
何気ない良平の一言に俺は気がつけば怒鳴り散らしていた。
自分がなぜ大声を出しているのかそれすらわからない。
制御がきかなかった。
振り返って顔を合わせた良平は、鋭い目をして俺を睨みつけていた。
「いい加減にしろよ?!」
張り詰めていたものがプツリと音を立ててきれたように、良平も俺に負けない勢いの大声を張り上げた。
「俺だって……どうしたらいいか……わかんねぇよ」
取り繕いも台無しにするような良平の弱音。
瞬間、大声を出したことを後悔した。
「……だけど、どうしようもないだろ」
「どうしようもない? 俺のせいで亜希は」
「お前のせいじゃない。自分責めたって、何も変わらないだろ」
そう言われて何も言うことができなかった。
わかってる……。
自分を責めたって、事故を起こす前に戻れるはずもなければ、事故を予知することだってできなかった。
でも……
ハンドルを握っていた自分を恨み、悔やむことをやめれなかった。
「……ちょっと頭冷やせよ」
良平は複雑な顔をしたまま俺を残して病院へと戻っていった。