all Reset 【完全版】
「これから二限?」
ダメダメな良ちゃんは置いておき、隣に立つ秀に目を向ける。
すると秀は軽く頷き、
「授業面白くないくせに、出欠だけはしっかり取るんだよ」
なんて苦笑を浮かべた。
「あっ、やべ!」
と、ほぼ同時に良ちゃんが声を上げた。
「俺もう行くわ」
授業の時間を気にしてか突然慌て始める。
「あっ、良ちゃん、ちょっと待った」
そんな良ちゃんの駆け出した背中を慌てて呼び止めた。
渡そうと思ったものが……。
そう思いながらバックの中を手探りであさる。
これは教科書、これはポーチでしょ……財布と。
その様子を一歩ずつ遠退きながら良ちゃんは不思議そうに見ている。
「あっ、あった! はーい、これ」
「え……何これ」
走っていってお目当てのものを手渡すと、良ちゃんは表と裏を交互にしながら首を傾げた。
「授業終わってから見てみな~。今更? って感じだけどね」
「……おう、わかった」
最後まで不思議そうな顔をして良ちゃんは走っていった。