all Reset 【完全版】
「せめて……今までと同じ日常生活が送れるようにはしてあげたいの。昨日はね、良平くんが来てくれてたのよ。時間があるときは、亜希の様子を見に来てくれるって言ってくれててね。だから秀くんも、暇があれば亜希に会いに来てあげてほしいの」
亜希には会いたかった。
でも、会ってもどうしたらいいのかわからないと悩んでいた。
良平が言ってたこと。
『前向きに考えるしかない』
あの言葉を思い出す。
きっと、あれから何度も亜希に会いに来てるのだと思うと、それすらできなかった自分が情けない。
腑甲斐無い奴だと思った。
良平は、真っ正面から現実を受け入れている。
逃げ掛けた俺なんて、
本当は亜希に会う資格もないのかもしれない。
「……また、来ます」
「あら、もう帰っちゃうの?」
考えれば間が持たなくなる。
帰る素振りを見せると「まだ来たばかりでしょ?」と、おばさんは引き止めるようにそう言った。
そんなときだった。