ビターチョコレート
「通勤時間の無駄ではありませんか？就職も決まったのならひとり…」

言葉の途中で私はみっくんを睨みつける。

みっくんも出過ぎた事を言ってしまったと気がついたのかコホンと小さく咳払いをして誤魔化した。

「夜道を遅い時間にひとりで歩くのは危険です。人通りも少ないですし」

「大丈夫です。慣れてますから」私は顔を見ることなく素気無く返す。

そんな話をしているうちに自宅前に到着する。

みっくんは何か言おうと口を開いていたが、では、と軽く挨拶をするとそそくさと家に逃げ帰った。

玄関に着くと小さく溜息を吐く。

よかった。今日は意地悪な事を言われなくて。

恐らくみっくんは週末は実家で過ごすに違いない。

あまり家から出ないようにしよう。
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