歌姫~♂王子と姫♀のLast love~『完』
「ったく、意味わかんね。」
チク。
自分でまいた種なのに、なんだか胸が痛くなった。
「…ったの。」
「聞こえねー。」
「優が送ってくれるんじゃないの?!」
「…。」
「…。」
「なぁ、撮影スタジオからお前ん家までどんくらいあると思ってる??歩いて帰るのだって普通に無理なんだぞ。」
ぁ…。そっか。考えれば簡単な事なのに。
「しょーもねぇ奴。」
「なっ…?!……て、ぇ??」
優は窓から夜の外を眺めていて、私の方を全然見てくれない。
でも、優の手は、しっかりと私の手を繋いでてくれた。
「…優、ありがと。」
これだけの事でさっきまでの私のモヤモヤを消えさせちゃうなんて、優って凄い。