親愛なる君が人魚であるはずがない
ありがとう、姫はそう言いたいのに口からは空気しか出てきません。
(そうか、ユーリの言っていたことは本当だったのか)
姫の動揺している姿を哀れに思ったアーサー王子はいっそう手を強く握ります。
「貴女ほど清らかな女性は見たことがない」
(俺男なんだけどな)
姫は男でしたが、ユーリの魔法で体つきは女そのものになっていました。
「ぜひ結婚を前提にこの城にいてはくれないだろうか?」
(とんとん拍子で進みすぎだろ!大丈夫かこの国!)
姫は若干引き気味です。
物語とはいえ、海で拾った見知らぬ女を嫁にしたいなんて物好きな。