親愛なる君が人魚であるはずがない


肩を落とし項垂れた姫の目に一つのものが留まりました。


「どうしたのです?」


瞳に強い意志をたたえ、髪に挿していたユリの花を引き抜き差し出します。


「ユリ…の花?」

首を上下に振り口を動かします。


(ユーリ、ユ・ー・リ・)


「ユーリ…君はユーリと言うんだね」


伝わった嬉しさから微笑みが零れます。

すると王子は顔を赤らめました。


「君は笑うと本当に魅力的だ…私以外に見せたくないくらいに」


(よくそんなことスラスラ言えたもんだ。)
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