親愛なる君が人魚であるはずがない
「姫は海がお好きなのですか?」
侍女の言葉に首をかしげると彼女はバルコニーへ続く窓を開けました。
「姫は暇さえあればこちらから海を眺めています」
さすがお世話係。
よく見ています。
「でも、悲しそうな顔をしています」
(悲しくなんてない。俺は物語通り幸せの絶頂さ)
姫はわかっているのです。
自分の未来を。
それが運命なら仕方がないと受け入れようとしていました。
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