親愛なる君が人魚であるはずがない

「なんで俺のことそんなに陸にあげたいの」


「うーん…セオリー通りだとそれが幸せだから?」


彼女は姫と王子が結ばれるのは当たり前だと思っています。


「陸とかめんどくね?歩くのとかだるくね?」


「私に聞かないでよ。たくさんのしらないものを見れるよ?」


山とか、陸の愛玩動物はフワフワなんだって、と語る彼女のほうがよっぽど姫らしく見えます。


「ユーリは陸に上がりたい?」

「そうだね…文献でしか見たことのないものは気になるよ」

「ふーん」


それならユーリが王子の元へ姫として行くのが正しい気がしました。

しかし、ユーリの役割は魔女です。

脚を与える代わりに声を奪う。    

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