親愛なる君が人魚であるはずがない
「離れるのは寂しいし、声を奪うなんて本当はしたくないよ?それでも、カレンちゃんが幸せになるお手伝いならしたいな」
「…ありがと」
親友がこんなにも思ってくれるのは嬉しいことです。
しかし、姫には幸せとは何かよくわかりません。
何をもって幸せと判断するべきかわからないのです。
「じゃあそんなに言うなら貰うわ」
「ほんとに適当だなぁ」
「俺のライバルとしてユーリも陸にあがるって言ったのは覚えてる?」
その時、姫の胸の奥がズキリと痛みました。
胸に手を当て姫は不思議そうに平らな胸を撫でています。
「私も陸にあがれるのね!…でも、カレンちゃんの邪魔はしたくないからいいや」
その様子にユーリは気が付きません。