臨死体験
それを手にとり、目を開けた。 非通知で着信がある。『どうすればいい』 たかしは自分にきいてみる。しかし返事はない。 やがて着信音が止み 静寂が訪れた。 たかしは必死にすがる思いで110番を押す。 『 もしもし 助けて ください、』 『どうしました』 警察に電話が繋がると 、ことのいきさつ を説明しようとしたが、自分自身 ここがどこなのか、 なぜこんなところにいるのか さっぱりわからず、 ただ 助けてくださいというほかなかった。 『落ち着いてください。 まずあなたの名前を教えて下さい。』 『 神谷 たかしです』 『あなたはいまどこにいるんですか』 『わかりません』 『そうですか それではこちらから逆探知してみますのでおまちください。』 ほっと胸をなでおろす。 『今いるところはどういう状況ですか』 『はい、暗くて まるで天井の低いトンネルのようです』そう話すと警察は、『神谷さん先に進んではいけません 今ならまだ戻れます』そう言うのです。 『それはどういう意味ですか、早く助けてください お願いします』 『あなたは今、 我々が手だし出来ない場所にいるようです。 あなたを救えるのはあなたしかいません』『一体何を言っているのかわかりません、 早く助けて』 『神谷さん あなたは自分の置かれている状況を理解していないようですね。 あなたは死んでいます』 ( 何っ) たかしはあまりの気味のわるさに声を荒げた。『どういうことだ、あんたは今死人と話をしているとでも言うのか』
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