私の隣〜小さな天使〜
散々泣いたのに『何でもない』とは言えなくて。


私は楓に譲のことを話した。


それを真剣に聞いてくれる楓を見て,優の気持ちが分かった。


優はこんなとこを好きになったんだね?



「認めてあげるよ。
 悔しいけどさ…」


大切なモノが増えることは悪いことじゃないから。


しばらくポカンとしていた楓だけど『ありがとうございます!』ってちゃんと言った。


礼儀知らずのお馬鹿さんだけど,可愛いとこあるんじゃない?



「ひめ泣いてるっ」


どんっと体に痛みが走る。


驚くことに紫音が一人で私のところに来ていた。


そして私の前に立って『ひめをなかせるなっ』と楓を睨む。



「違うよ紫音。
 楓じゃないよ!
 ママは大丈夫だから…ね?」


小さい子供にとって母親が泣くことは不安の材料。


ギュッと抱きしめると泣き出してしまった。


ごめんね紫音…


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