私の隣〜小さな天使〜
思わず顔を上げると,優しげな顔をした楓がもう一度同じ言葉を繰り返す



「憂さんが泣いてるの見たら優が悲しみますから」


そっか,優の彼氏だから優の事をちゃんと考えてるんだね


眉を下げて笑う楓に『ごめん』と返そうとしたとき



「そして優が悲しんだら次はまた憂さん自分を責めるんでしょ?」


困った人達,と肩を落とし首を左右に振る楓に……色々思う事があって何も言えなかった



「それに…やっぱりらしくないですよ?」


馬鹿で命知らずのくせに


何でこんなにいいやつなんだろう


馬鹿みたいに涙が溢れてきて…


優に気付かれないように楓に守られながら,理由を全部譲のせいにして静かに涙を流した



もう何も言わないよ


あんたは…楓は素晴らしい優の彼氏だ




「譲のば−か!!
 憂の事は私が守るのよ−だっ」


「譲ちゃんのば−か!!
 憂ちゃん返せ−っ」


家の中で叫び始めた2人を見て,落ち着いた私と楓が顔を見合わせて溜め息をついたのはそれからしばらくしてからだった



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