にぶんのいち〜もしも隼人を選んだら〜
映画館に着いた。

なに見るんだろう?
今回は隼人くんに任せてるから
全くわからない。

「はい、オレンジジュース」

「ありがとう。」

でも間接キスするのかな?
こないだ次はとか言ってたし…
あーどうしよう。

「間接キスはしないから大丈夫だよ?」

顔に出てたかな。
心配が一つ消えてよかった。

「じゃあ入るぞ」

そう言って彼は歩き出す。
席に着いた私たちは映画が始まるのを待つ

大変な1日になりそうと思ったけど
問題なさそうだ。
そんなことを考えていたら映画が始まる。

「好きだよ、綾乃。」
「私もずっと好きだった。」

これって…
ラブストーリーじゃん⁉︎

見たかったやつだけど、緊張するじゃん…

そう思って隼人くんを見る

「嫌だった?」

気づいた彼が耳元で聞いてくる

近いよ…

私は焦って
「大丈夫だよ!」
と答え映画に戻る。

あ〜ドキドキした。
バレてないよね?

なんとか緊張を隠し、内容もラストに近づく。

「ずっと一緒にいような」
「うん。大好き…」

ヒロインと人気俳優がキスをする。
なんか熱くなってきた…

チュ…
なにか音が聞こえてくる。

キスしてるじゃん!
やめてよ〜恥ずかしいから…

顔を戻すと隼人くんの顔が目に入る

えっ?こっち見てる?

「なんか、恥ずかしいね…」

私はそう言ってごまかす
だってキスなんかできないし、
そんな関係じゃないし!

「そうか?してあげてもいいよ」

なに言ってるの!
だめでしょ、私は好きだからいいけど
だめだよ、付き合ってないし…

「じゃあ、いいや。」

そう言って彼が映画に戻る。

あー助かった。
そう思って私も映画に戻る。

チュ…

え?今なにか唇に触れた。
体温が急に上がる

えっ、隼人くん?
前には隼人くんの顔があった

「間接キスはしないからって言ったろ?」
「キスなら、していいよね。」

そう言ってもう一度唇を重ねる。

「反抗、しないの?」

彼が目を合わせて聞いてくる

できるわけない、好きなんだし。

「しないなら、続けるよ」

また唇が重なる…

「付き合ってあげるよ」
「俺のこと、好きなんでしょ?」

あの意地悪な目が私を見つめる

そうだけど、言えるわけないじゃん
こんなところで…
私は恥ずかしくて答えられない。

「あれ、好きじゃないんだ。」
「じゃあ、キスも終了だね」

隼人くん、絶対わかってて聞いてるよ
でも、答えないと…

「好き、です…」

「え?なに聞こえないよ?」

あー絶対聞こえてるのに。

「好きです。」

「よくできました」
「俺も麻依のこと好きだよ」

私たちは何度もキスをした。

いつの間にか映画も終わる。
まさか、こんな日になるなんて…

< 3 / 5 >

この作品をシェア

pagetop