櫻の園

間抜けな顔をしたままぼうっと立ち尽くしていると、洲はニッと口元を歪めた。


「…出直してくるっつったろ?」


茶色い髪は、姿を現した月の光に溶け込むように輝いている。昼間に見る洲と夜に出会う洲とでは、まるで違った人物のように見えてしまった。


「…へ?」

「…バイオリン、持って来いよ」












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