櫻の園
「…まだそんなことを言っているの?結城さん。あなた、全く反省できていないようね」


先生はため息をつくのも惜しい、というようにあからさまに呆れ返った顔をした。


「退学処分になりたいの!?」

「その覚悟でお願いに来ました」


深々と頭を下げる。視界に映るのは古びた床だけで、静まり返った職員室はそのまま長い沈黙を保っていた。

茶色い床に、みんなの顔が浮かぶ。


遠い存在だった葵、

なくてはならない存在の美登里、

いつも明るい気持ちにさせてくれた奈々美、

大の苦手が、大好きになった赤星さん──



頭を下げたまま、唇を噛み締めた。


「…お願いします!!」

「ちょっとあなたたち!!何考えてるの、今は職員会議中よ!?」


いきなり騒がしくなった廊下側。

あたしと教頭先生にばかり集まっていた視線が、一斉に職員室の入り口に向けられる。



「───────、」



目に映るものが、信じられなかった。



「桃…っ!!」

「なんで一人で行っちゃうのよ!?」


息を切らして駆け込んできた葵、奈々美。


「自分一人で責任取ろうとするなっ!!」


泣き顔の美登里。


「今までずっと一緒にやってきたでしょう!?」


真剣な顔の、赤星さん。


それに続いてドタバタと、劇のメンバー全員が職員室に流れ込んでくる。



なんで。


なんで?


…どうして。



どうして、みんな──



「…っ、あなたたち!!ふざけるのもいい加減になさいっ!!即刻出て行くように!じゃないと全員処分を与えますっ!!」

「あたしたちからもお願いします!!」


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