櫻の園
顔を真っ赤にして怒る教頭先生に、赤星さんが声を張り上げて前に進み出る。
そこにはかつての、型にはまった優等生の「赤星さん」はいなかった。
「"桜の園"をやらせてください!!お願いします!!」
「お願いします!!」
次々に頭を下げていくみんな。あたしはただ、未だに信じられない気持ちで呆然とそこに立っていた。
いつもの威厳も丸投げにして、痛々しいほどに叫ぶ教頭先生。
「出て行って!!今すぐ、出て行きなさいっ!!」
あたしたちの間でオロオロしていた他の先生たちも、教頭先生の声で慌ててみんなを外へ追いやろうとした。
学びの中心の場であるはずの職員室が、まるで戦争のような大乱闘だ。
「ちょっと放してよっ!!」
「まだ話は終わってないんです!!」
もみ合いになる先生と生徒。騒ぎを聞きつけたのか、廊下にはたくさん他の生徒までも覗きに来ている。
あたしが急いで駆け寄ろうとした時──、
「今にもワーッと叫ぶか、バカなことをしでかしてしまいそう…助けて、ペーチャ!助けて…!!」
職員室に、葵の声が大きく響いた。
「なんて素晴らしい桜の園!白い花の雲に、青い空……!!」
息を呑んだ。
鳥肌が立った。
静まり返った職員室。
…それは、"桜の園"のセリフだった。
.
そこにはかつての、型にはまった優等生の「赤星さん」はいなかった。
「"桜の園"をやらせてください!!お願いします!!」
「お願いします!!」
次々に頭を下げていくみんな。あたしはただ、未だに信じられない気持ちで呆然とそこに立っていた。
いつもの威厳も丸投げにして、痛々しいほどに叫ぶ教頭先生。
「出て行って!!今すぐ、出て行きなさいっ!!」
あたしたちの間でオロオロしていた他の先生たちも、教頭先生の声で慌ててみんなを外へ追いやろうとした。
学びの中心の場であるはずの職員室が、まるで戦争のような大乱闘だ。
「ちょっと放してよっ!!」
「まだ話は終わってないんです!!」
もみ合いになる先生と生徒。騒ぎを聞きつけたのか、廊下にはたくさん他の生徒までも覗きに来ている。
あたしが急いで駆け寄ろうとした時──、
「今にもワーッと叫ぶか、バカなことをしでかしてしまいそう…助けて、ペーチャ!助けて…!!」
職員室に、葵の声が大きく響いた。
「なんて素晴らしい桜の園!白い花の雲に、青い空……!!」
息を呑んだ。
鳥肌が立った。
静まり返った職員室。
…それは、"桜の園"のセリフだった。
.