櫻の園
息が詰まりそうだと思った
酷く狭い世界だった、狂い咲く桜の中
花は散り、のち葉は茂る
葉は落ちて、木々は素肌をさらす
有無を言わさずけして止まることのない流れ
あたしたちは幾度
消せない痛みを繰り返しただろう
牢獄のように渦巻くその桃色の中で
あたしたちは精一杯に笑い
泣き
怒り
悔いて
また笑い…そうやって
あたしたちは確かに生きていた。
永遠に色褪せることのない日々を
───生きていた。
【fin,】