櫻の園
憧れだった先生の穏やかな笑みは、もうずいぶん見ない間に忘れてしまった。
この学校で唯一、頼れる存在だった先生。
その彼女すらも、もうあたしとは違う世界に行ってしまった。
先生はあたしに期待を裏切られたと、きっとそう思ってる。
でも、裏切られたのはあたしも同じだ。
『努力すればできるのに、どうしてやらないの!?』
あの言葉を言われた時、あたしの中で何かが崩れ落ちた。
思い知らされたんだ。彼女の中の『あたし』は完璧で、勝手に作られた理想像でしかなかったんだって。
なのにあたしは、先生だけはわかってくれるって、バカみたいにそう信じてた。
.