元カレバンドDX
「みっつーって、今までどのくらい彼女いたの?」

 ベットからぴょこんと頭だけ出して、充晴を見た。

 充晴は一服をしながら、あたしの方を見る。

「ん~わかんない。数えらんない」

「えー!!ちょっとそれ、どういうこと~!?」

 ふざける充晴に、からかわれるあたし。

 この図式ができたのは、つい最近のことだ。

 惚れやすいあたしが次に惚れたのが、同じバンドでベースをしている充晴だった。

 別に風太に振られたからというわけではない。

 バンド活動をしていくうちに、徐々に大人の魅力のある充晴に惹かれていったのだ。

 タバコの火を消した充晴はまたベットの中に戻って来た。

 後ろから抱きすくめる充晴に、心も一緒に抱きすくめられる。

「ねぇ、いつからあたしのこと好きだったの?」

 そう言って、くるりと身体を反転させ、充晴と向き合った。

「ねぇ~ってば~、いつからあたしのこと気になってたの?」

「……たぶん同じくらいじゃない?タイミング的に」

 充晴の低い声が耳に響いて、なんだか感じてしまう。

「なになに?耳よわいの?」

「そんなことないもん!」

「いいよ、隠さなくて~」

 わざと耳をいたずらする充晴のせいで、変な声が出てしまう。

「ちょっと、やめてよ~」

 淡白な風太と比べると、充晴の性欲は強いような気がした。

 いや、これが普通なのかもしれないけれど。

 そして、充晴の腕の中であたしは思う。

 彼の筋肉質な身体は、いかにも男らしくて好きだ。

 やはり「男」は男らしいのが1番だ。
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