元カレバンドDX
 夜の歓楽街を、ベースを背負った充晴とあたしが肩を並べて歩く。

 すると、大ヒットした某音楽漫画の主人公になったような気分で高揚してしまう。

 時が止まったらいいのに……とまでは思わないけれど、今のあたしたちって、すっごく絵になるのでは!?と、妄想が膨らんだ。

「なーに、にやけてんの?」

「うそ!あたし、にやけてた?」

「すげーにやけてた」

 と言って、にやつく充晴の顔が目の前にあった。

(もう超好き……)

 この物語の主人公は、もしかしたら、あたしと充晴なのかもしれない。
< 113 / 237 >

この作品をシェア

pagetop