元カレバンドDX
「わー超緊張する~!!!」

 出番を控えたあたしと充晴とバンドメンバーたちは、ライブハウスの楽屋にいた。

「ライブ経験なかったっけ?」

「あるけど、ライブハウスは初めてなんだって!前に言ったじゃん!」

「そうだっけ?」

 充晴のタバコの煙は、円を描いて上昇した。

「まぁ、楽しみながら歌いなよ」

 あたしの頭をぽんと叩き、充晴はトイレに立った。

「ねぇ、あんた達って付き合ってんの?」

 声のする方を振り向くと、そこには女性メンバーの神妙な顔があった。

「え!?あ……」

 実は、あたしと充晴が付き合っていることは、バンドメンバーには内緒にしていたのだ。
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