元カレバンドDX
「ふーん、やっぱりそうなんだ。てゆーか他のメンバーも気づいてるから。いつも練習帰り2人で消えるし」

「あ……」

 あたしは言葉が出なかった。

「大丈夫よ。別にバンド内恋愛を禁止してるわけじゃないし。そんなひょっとこみたいな顔しないでよ」

「はぁ……ひょっとこ……?」

 付き合っていることを秘密にしていたのは、バンド活動を円滑にするためであって、あたしはそんなバンド内恋愛をこっそり楽しんでもいた。

(バンド内恋愛……バンド内恋愛……バンド内恋愛……あぁ、何度聞いても良い響き……)

「って、ちょっと聞いてる!?」

「あ、はい?」

 ボーっとしているあたしに怒声がかかる。

「人の話、ちゃんと聞きなよね!!そろそろ出番だから行くよ!!」

「あ、はい、すみません……」
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