元カレバンドDX
 それは、ちょうど1週間後の夜だった。

 自分の部屋で本を読んでいたあたしは、1週間ぶりの充晴からの着信に、こころが震えた。

「も、もしもし?」

「よお」

 久しぶりの充晴の低い声に、緊張する自分がいる。

「げ、元気?」

「まぁ、それなりに」

 以前は、毎日連絡を取り合っていたのに、この1週間は、取り合うことはなかった。

 そのせいか、ふたりの間に流れる時間に違和感を覚える。

「……答え、出たの?」

 恐る恐る尋ねるあたしに、充晴は「あぁ」と優しく返事をした。

 ふたりの行く末が、今、決められようとしているのだ。
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