元カレバンドDX
 あたしは女の言葉に目を丸くした。

 この女性メンバーが、あたしのことを気に入らないのは前々から気づいていたが、特に攻撃が激しくなったのは、あたしと充晴が別れたのを知ってからだった。

「まぁ、ライブも近いし、陽愛もがんばってるんだからいいじゃん。はい、いったん休憩~」

 そう言って、充晴はそそくさとスタジオから出て行ってしまった。

 あたしは、なんだか悔しくてたまらなくて、女の顔をキッと睨みつけた。

「なに、あんた。文句でもあるの?ちょっと、こっち来なよ」

 売られたケンカは買わなければ――

 そうでないと女が廃ると思い、あたしは女性メンバーのあとを追った。

 スタジオの建物から出ると、女はくるりと振り向いて腕を組んだ。
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